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BBU・RRHとは?現在の基地局アーキテクチャを支える分離型構成の基礎

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現代の無線基地局には、「BBU」と「RRH」という2つの欠かせないコンポーネントが存在します。

それは、見えないところで膨大な通信を支える心臓と手足のような存在です。

日常的に触れている技術者にとっては当たり前の用語かもしれませんが、あらためてその役割を整理すると、その進化の歩みの大きさに気づかされます。

本記事では、BBU(ベースバンドユニット)とRRH(リモートラジオヘッド)が何を担い、基地局の中でどのように役立っているのかを解説します。

さらに、従来の一体型から分離型へと進化した基地局アーキテクチャ、そしてこの分離がCentralized RAN(C-RAN)といった新しい構成を切り拓いた背景を振り返ります。

最後に、5G時代を迎えた今だからこそ問われる利点、コスト効率、集中処理、柔軟性と、現場での具体的な活用シナリオについて触れていきます。

目次(タップできます)

BBUとRRHの基本機能

基地局は、大きく分けると頭脳としてデジタル信号処理を担う部分と、声として無線周波数を扱う部分から成り立っています。

4G LTE以降、この二つの役割は物理的にも分離され、それぞれBBUとRRHとして独立した存在になりました。

BBU(ベースバンドユニット)

BBU(Baseband Unit)は、まさに基地局の頭脳です。

通信の根幹を支える信号処理の中枢であり、見えないところでデータの復号や制御を黙々とこなしています。

受信時には、アンテナとRRHから送られてくるIQ信号を解きほぐし、ユーザーデータを取り出します。

送信時には、コアネットワークから届いたデータを符号化・変調し、IQ信号としてRRHへ橋渡しします。

さらにBBUは、複数セルをまたいで管理し、干渉制御やスケジューリングといった高度な機能を統合的に実現します。

通常は基地局局舎やビルの通信機器室に設置され、コアネットワークと基地局を結ぶゲートウェイの役割も果たします。

RRH(リモートラジオヘッド)

RRH(Remote Radio Head)は、基地局の声を担当する無線周波数部です。

アンテナの直下や一体型で設置され、空間へ電波を届け、また空間から電波を受け取ります。

送信時には、BBUから届いたデジタル信号をアナログ無線信号へ変換し、力強く増幅してアンテナから放射します。

受信時には、空から舞い降りるかのように微弱なRF信号を拾い上げ、デジタル信号へと変換してBBUへ返します。

高所に設置されるRRHは、長大な同軸ケーブルによる損失を回避し、クリアな通信を実現します。

厳しい環境に耐え抜く堅牢さも備え、現場の信頼を裏切りません。

一体型基地局から分離アーキテクチャへの進化

かつての2G・3G初期の基地局は、無線部と制御部を一体化した重厚な箱でした。

しかしLTEの時代になると、その枠組みは大きく変わります。基地局はBBU(信号処理)とRRH(無線部)に分離され、それぞれの役割をより最適な場所で果たすようになったのです。

  • BBU:地上や局舎に集約配置
  • RRH:アンテナ直下に設置
  • 接続:CPRIでIQ信号をやりとり

この分離は、設置性・保守性・モジュール化といった利点をもたらし、4G時代の標準アーキテクチャとなりました。

C-RAN(集中型RAN)の登場

画像出典:Omnitron Systems

BBUとRRHを分離したことで、複数のRRHを一箇所のBBUプールで集中制御できるC-RAN(Centralized RAN)が登場しました。

光ファイバで結ばれたRRHと集中BBUは、まるで都市の神経網のように連携し、複数基地局をひとつの巨大な基地局のように動かします。

その効果は顕著です。

セル間干渉の低減、キャリアアグリゲーションやCoMPの拡大、BBU資源の効率利用、そして運用管理の簡素化。

もっとも、大容量・低遅延のフロントホール回線が必須という新たな課題も突きつけられました。

BBU/RRH分離のメリット

  • コスト効率の向上:BBUの集約によるCAPEX/OPEX削減
  • 集中処理による性能向上:干渉制御やリソース配分の最適化
  • 柔軟なアーキテクチャ:小セル展開や都市部での高密度配置に対応
  • 運用性の改善:集中拠点からのアップデートや保守が容易

    5G時代の適用シナリオ

    5Gでは、都市の隅々にまでスモールセルやミリ波セルを張り巡らせる必要があります。

    そんな環境で個別にBBUを置くのは現実的ではなく、集中BBUプールによる管理が力を発揮します。

    • 都市部:ビル屋上や街路に点在するRRHを集中BBUで一括制御
    • フロントホール:大容量・低遅延の光ファイバーや無線伝送が欠かせない
    • バックホール:集中BBUからコアネットワークへの大容量接続が必要

    まとめ

    BBUとRRHの分離は、基地局設計におけるひとつの革命でした。それは重厚な箱から解き放たれ、しなやかで柔軟なネットワークへの第一歩でもあります。

    C-RANの実現、そして5Gの広がりとともに、この分離は「効率」「柔軟性」「高性能」を同時に満たす要となりました。

    これからのネットワークを思い描くとき、BBUとRRHの姿は、進化を象徴する光と影のように、静かに私たちを導き続けるでしょう。

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