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大ゾーン基地局とは?災害時に人をつなぐ最後の通信の砦

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携帯電話ネットワークの世界には、普段は静かに待機し、非常時にこそ真価を発揮する特別な基地局が存在します。

総務省の資料でも「大ゾーン方式基地局」と記されるこの仕組みは、通常の基地局がカバーしきれない広大な範囲を、一局だけで見守る力を備えています。

それはまるで、都市や地域の高みから人々を見守る灯台のような存在。

日常ではその光を隠し、いざという時にだけ強く輝き、通信という生命線を絶やさない。これが大ゾーン基地局の使命です。

目次(タップできます)

一般基地局との違い

通常の一般基地局(一般ゾーン)は、都市部で半径数百メートル、郊外でも1〜2kmほどの範囲を担当します。

一方、大ゾーン基地局は半径7〜10kmという桁違いのエリアを1局でカバーします。

アンテナ設計:一般局は下向きにチルトして狭いエリアを細かく切り取りますが、大ゾーン基地局は水平に電波を解き放ち、遠くまで届けます。

  • 設置場所:一般局が街中や住宅地に点在するのに対し、大ゾーンは耐震性の高い高層ビルや専用鉄塔の上に構築されます。
  • 電力と冗長性:非常用発電機や大容量バッテリー、光+マイクロ波など二重化されたバックホールを備え、止まらない設計が徹底されています。

つまり大ゾーン基地局は、日常の細やかな通信を担う一般局とは対照的に、広域を丸ごと抱える守り手として存在しているのです。

特徴

  • 広域カバー能力:一つの局で複数市区町村を覆い、一般局が停止しても最低限の通信を確保。
  • 非常時の稼働:普段は休止し、省電力で待機。災害や大規模障害のときだけ目覚める。
  • 高所・高出力:アンテナを高く掲げ、強力な電波を360度に放射して遠方まで届ける。
  • 信頼性設計:二重化された伝送路や冗長電源により、長時間の停電や断線にも耐えられる。

    その設計思想は、「最後まで残る基地局であれ」という一点に集約されます。

    導入背景と役割

    災害時の通信確保

    東日本大震災では、多くの基地局が停電や倒壊により機能を失いました。

    その教訓から、大ゾーン基地局は災害時に最低限の通信を確保するための砦として整備されました。

    救助要請や安否確認という、人命に直結する通信を守るための存在です。

    平常時は眠り、非常時に覚醒する存在

    都市部においても、大ゾーン基地局は平常時には目立たず沈黙しています。

    しかし、災害時には広域を一気にカバーし、人々の通信を再びつなぐ。

    その姿は、まさに最後の砦として設計されたものです。

    まとめ

    大ゾーン基地局は、普段のネットワークでは主役ではありません。

    けれども災害や大規模障害の時には、広域を照らす灯台となり、人と人をつなぎ続ける存在です。

    通信インフラは日常に溶け込み、意識されないことこそが理想です。

    しかし、いざという時にその価値が露わになるのが大ゾーン基地局です。

    見えないところで人々を支える。それがこの特別な基地局の真の役割なのです。

    参考リンク
    ドコモの災害対策
    KDDIグループの災害に対する取り組み
    NTTドコモの災害対策について

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