オフィスや学校、病院、工場など、私たちが当たり前のようにネットワークを使える裏側には、見えない存在が静かに働いています。
そのひとつが、エッジスイッチ(エッジSW)です。普段は意識されることが少ないですが、端末とネットワークをつなぐ重要な役割を果たしています。
この記事では、エッジスイッチの基本から役割、コアスイッチとの違い、導入時のポイントまでを整理して解説します。
エッジスイッチとは?
エッジスイッチは、ユーザーに最も近い位置に設置されるスイッチです。
パソコンやIP電話、プリンタ、無線アクセスポイントなどの端末が直接接続され、そこで集約された通信が上位のスイッチやコアネットワークへと流れていきます。
建物の各フロアや部屋に設置されることが多く、いわば「現場の窓口」として機能しています。
多くの場合、エッジスイッチはL2スイッチとして動作します。MACアドレスを学習し、端末間の通信を効率良く転送するのが基本です。
さらに、VLANによるネットワーク分割、スパニングツリーによるループ防止、PoEによる電源供給など、日常の運用で欠かせない機能を備えています。
エッジスイッチの役割
エッジスイッチの役割を一言で表すなら「端末を支える存在」です。
以下のような役割を担います。
- 端末をネットワークに接続する入口
- VLANでセグメントを分割しセキュリティを確保
- PoE機能でIP電話や無線AP、監視カメラに電力を供給
- QoSで音声や映像などのトラフィックを制御
大きな木の根が水を吸い上げるように、エッジスイッチは現場の小さな通信を一手に引き受け、上位のネットワークへ流していきます。
コアスイッチやディストリビューションスイッチとの違い
ネットワークは階層構造で設計されることが多く、スイッチの役割も大きく三つに分かれます。
末端にあるのがエッジスイッチ、中間にあるのがディストリビューションスイッチ、そして中心にあるのがコアスイッチです。
- エッジスイッチ:端末を直接接続する。多ポートで省スペース設計が多い。
- ディストリビューションスイッチ:複数のエッジをまとめ、必要に応じてL3ルーティングを担当。
- コアスイッチ:ネットワーク全体を束ねる高速・大容量の中心装置。冗長性と信頼性が最優先。
エッジは末端の血管、コアは心臓のようなもの。
それぞれの役割がかみ合うことで、ネットワーク全体が健康に機能します。
エッジスイッチの設置例
実際の現場を思い浮かべてみましょう。
オフィスのフロアには、壁のLANコンセントがあり、その先はフロア内の配線盤に置かれたエッジスイッチへつながっています。
学校では、廊下や天井裏のラックに設置され、教室のパソコンや電子黒板、Wi-Fi APを収容します。
工場ではセンサーや監視カメラ、IoT機器がエッジスイッチに集約され、生産ライン全体を支えています。
日常の業務の裏で、常に黙って動き続けている存在。それがエッジスイッチです。
L2とL3の観点
基本的にはL2スイッチが多いエッジですが、大規模ネットワークではL3機能を持ったモデルが導入されることもあります。
フロア単位でルーティングを分散すれば、コアスイッチの負荷を軽減し、障害時の影響範囲も小さくできます。
ただし、その分運用管理は複雑になるため、現場の規模や要件に応じた判断が必要です。
導入時のポイント
エッジスイッチを選ぶ際には、次の点を押さえておくと安心です。
- 必要なポート数と速度(将来の増設も考慮)
- PoE対応の有無と給電能力
- 管理機能(CLI/GUI、スタック機能など)の確認
- 設置環境に適した静音性や耐久性
- 冗長性(電源やリンクアグリゲーション)の有無
とくに無線APやIPカメラを多用する現場ではPoE対応の有無が大きなポイントです。
機種選びを間違えると、あとから配線をやり直す手間が発生することもあります。
まとめ
エッジスイッチはネットワークの末端でありながら、すべての通信の入口を守る装置です。
つながって当たり前を支える存在だからこそ、その選定や設計には細やかな配慮が欠かせません。
コアやディストリビューションと役割を分担しながら、見えない場所で黙々と働き続けています。
あなたがオフィスでメールを送るとき、学校でオンライン授業を受けるとき、病院で検査結果を確認するとき。
そのすべての瞬間を、エッジスイッチが静かに支えているのです。
そう思うと、ネットワークの裏側に少しだけ親近感を覚えるのではないでしょうか。



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