基礎知識・使い方

クラウドSIMの仕組みをプロが徹底解説!メリット・デメリットは?

クラウドSIMの仕組みをプロが徹底解説!メリット・デメリットは?

クラウドSIMは、端末がプラットフォームへ接続し、クラウド側で用意されたSIMリソースを遠隔で割り当ててもらう仕組みです。

本来、通信には契約情報や識別情報を記録したSIMカードを使用しますが、クラウドSIMではSIMサーバー側で管理されたSIMリソースを利用します。

SIMサーバーでは各地域での通信に必要なSIMカードを管理しています。

端末は初期接続用のSeed SIM(シードSIM)を介してサーバーに接続し、利用場所やネットワークの状況に応じたSIMの認証情報が割り当てられます。

これにより、利用者がSIMカードを差し替えなくても、現地のネットワークへ接続できます。

トミー
トミー
クラウドWi-Fiは、クラウドSIM技術を利用するモバイルWi-Fi端末やサービスの通称です。契約先によっては、複数の回線から利用場所やネットワークの状況に応じた回線が割り当てられます。
トミー

この記事の著者:トミー(ネットワーク・移動体通信エンジニア)

これまでに3Gの周波数再編や4G LTEの立ち上げ、災害で使用できなくなったネットワークの復旧対応、東京オリンピック・パラリンピック競技会場、EXPO 2025 大阪・関西万博のネットワーク構築計画推進、BWAのエリア構築などを行い、北海道から沖縄まで日本全国のモバイル通信を陰で支えてきました。現在は5Gのエリア構築に深く携わっています。これまでに構築した回線数は累計10万件以上です。総務省認定:第一級陸上特殊無線技士(関東総合通信局 免許番号:ABXJ01740)一般財団法人 インターネット協会 賛助会員 » 著者プロフィール詳細

ご意見やご感想、ご質問や体験談など、ぜひ気軽にコメント欄で教えてください。

クラウドSIMの仕組みを分かりやすく解説

クラウドSIMの通信フロー

クラウドSIMの通信フロー

クラウドSIMの通信フロー

  1. 端末は初期接続用のSeed SIM(シードSIM)を介して、クラウドSIMのプラットフォームへ接続します。
  2. プラットフォームは利用場所やネットワークの状況をもとに、利用可能なSIMリソースを選択します。
  3. 選択したSIMリソースを端末へ遠隔で割り当て、通信に必要な認証情報をやり取りします。
  4. 端末は割り当てられた回線を使用して、インターネットへ接続します。
トミー
トミー
SIMサーバーは、SIMプールや、SIMバンクとも言われ、世界各国のSIMカードが沢山刺さっています。
クラウドSIM端末(D1)の内部

クラウドSIM端末(D1)の内部

上記写真は、クラウドSIM型モバイルWi-Fiの端末内部です。

トミー
トミー
本体にSIMカードスロットは存在しますが、SIMカードは入っていません。

この状態で使用します。

uCloudlink社がプラットフォームを開発

中国のuCloudlink社がプラットフォームを開発

画像出典:uCloudlink公式サイト

uCloudlinkは2014年に事業を開始し、本社を香港に置いています。Cloud SIM技術を基盤としたサービスを世界各国・地域で展開しています。

同社は、GlocalMeブランドで端末販売、Roamingmanブランドでレンタルサービスを展開しています。

GlocalMeの端末はAmazonなどでも購入できます。付属するデータ容量や対応国・地域などの条件は、製品や販売ページによって異なります。追加データはGlocalMeアプリなどから購入できます。

クラウドWi-Fiとは、クラウドSIMを使ったモバイルWi-Fi

冒頭でも少し触れましたが、クラウドWi-Fiとは、クラウドSIMを使用したWi-Fi端末またはWi-Fi接続サービスのことを言います。

日本ではY!mobileが自社のポケットWi-Fiサービスで、いち早くuCloudlink社の端末(701UC)を導入し話題になりました。

U2・U2s・D1は、どんなときもWiFiやめっちゃWiFiなど、複数のサービスで採用された機種です。

なお、どんなときもWiFiのU2・U2s・D1端末向け旧サービスは2026年2月28日に終了しており、現在は同サービスでは利用できません。

MAYA SYSTEMはuCloudlinkのCloud SIM技術を採用した「jetfon」ブランドを展開しています。jetfon P6は、限界突破WiFiの端末として採用されていました。

U3
U3

U2・U2s(D1)GlocalMe U2・U2s(D1)

G4GlocalMe G4

P3(jetfon P6)P3(jetfon P6)

画像出典:Amazon、Glocalme公式サイト

各サービスが現在提供している端末とは異なる場合があります。

端末モデル名 採用事例
U3 Mugen WiFi
AiR-WiFi
どこよりもWiFi など
U2・U2s(D1) どんなときもWiFi(旧サービスは2026年2月終了)
めっちゃWiFi
hi-ho GoGo Wi-Fi など
P3(jetfon P6) 限界突破WiFi
MAYA SYSTEM など
G4 Mugen WiFi
hy-fi など
G3(701UC) Y!mobile
トミー
トミー
クラウドWiFiは通信事業者以外にも事業として参入する企業が多く、それだけ沢山の人が注目をしている技術ということが分かります。
GlocalMeのWi-FiルーターU2s/D1をレビュー!どんなときも使える!?

続きを見る

【GlocalMeのWi-Fiルーター】U3のスペックを徹底解説!U2sとの違いは?

続きを見る

クラウドSIMのメリットは?

クラウドSIMのメリットは?

トミー
トミー
クラウドSIMには、以下の大きなメリットがあります。

クラウドSIMのメリット

  • 1本の契約で複数キャリアの回線を使用できる
  • 対応する国・地域で利用可能
  • SIMカードの差し替えをしなくて良い

1本の契約で複数キャリアの回線を使用できる

クラウドSIMでは、契約先のサービスが用意した複数の回線から、利用場所やネットワークの状況に応じて利用可能な回線が割り当てられます。実際に利用できる回線は、サービス、利用場所、端末の対応周波数帯などによって異なります。

対応する国・地域で利用可能

クラウドSIMは、契約するサービスと端末が対応している国・地域で利用できます。海外利用に対応したサービスでは、渡航先でSIMカードを差し替えずに通信できます。対応国・地域、データ容量、料金はサービスによって異なるため、契約先の案内を確認してください。

端末にSIMカードの差し替えをしなくて良い

クラウドSIMでは、SIMリソースがクラウド側で管理されるため、利用者が端末のSIMカードを差し替える必要はありません。

クラウドSIMのリスクとデメリットは?

クラウドSIMのリスクとデメリットは?

トミー
トミー
クラウドSIMのデメリットと、考えられるリスクについて解説します。

クラウドSIMのデメリット

  • 接続する回線はユーザー側で選べない
  • 端末のスペックがボトルネックになることがある
  • SIMサーバーを運用する事業者の管理能力が問われる

使用する回線はユーザー側で選べない

クラウドSIMは複数キャリアの回線を使用することができますが、使用する回線はSIMサーバーの運用事業者のコントロール配下にあるため、ユーザー側で選択することができません。

もしユーザー側で使用する回線(SIM)を選択したい場合には、eSIMを選択肢に入れてみてください。

eSIMは、端末に内蔵された書き換え可能なデジタルSIMです。

Dual SIM対応端末では複数の回線を登録・待受・切り替えできる場合があります。

例えば、MNOの回線+格安SIM(MVNO回線)の2キャリアを切り替えながら使うという方法も取れます。(利用するには端末のSIMロックが解除されている必要があります)

端末のスペックがボトルネックになることがある

クラウドSIM対応端末でも、利用できる周波数帯は機種ごとに異なります。渡航先のネットワークが使用する周波数帯に端末が対応していない場合、通信できなかったり、電波をつかみにくかったりすることがあります。

また、利用する国の回線事業者側で素晴らしいパフォーマンスの回線速度を提供していたとしても、通信速度は端末側の最大通信速度に依存します。

これはクラウドSIMに限った話ではないですが、スペックの低い端末を使用している場合には、思うような通信ができないことがあります。

スペックに注意が必要

  • 利用可能バンド(周波数)
  • 最大通信速度

SIMサーバーを運用する事業者の管理能力が問われる

au・docomo・SoftBankなどの回線事業者(MNO)は回線のトラフィックを厳しく監視していて、日々回線がパンクしないように保守・管理しています。

具体的には、データの通信経路をVLAN(バーチャル・ラン)というIDで管理していますが、コア設備の処理能力を超えないように、しきい値を設けています。

しきい値を越えそうになった場合には、基地局固有のVLAN IDを変更し通信経路を変更することなどにより収容されるコア設備の負荷分散をかけています。

この他にも設備の冗長構成を取ったり、回線を絶対に停止させないように、あらゆる手段で備えています。

ここが重要

  • 設備の保守メンテナンス
  • トラフィックの分散

SIMサーバーは、通信を司る一番大切な中枢(人間の体で言えば脳)の役割をしているので、この部分がパンクしていたり、何かトラブルがあると通信ができない状態になります。

つまり、SIMサーバーを運用する事業者の管理能力がとても重要になります。

個人的にはSIMサーバーを管理する事業者もMNOと同等の保守管理体制が必要になると考えています。

ちなみに、日本の電気通信事業法では、重大事故に該当する通信障害が発生した場合、電気通信事業者には総務大臣への報告が義務付けられています。

(重大事故の基準は、提供する電気通信役務の種類、影響時間、影響を受けた利用者数などによって異なります。)

クラウドSIMの仕組みと特徴まとめ

まとめ

トミー
トミー
クラウドSIMの仕組みをまとめます。

クラウドSIMは、クラウド側で管理されたSIMリソースを端末へ遠隔で割り当て、利用者が物理SIMカードを差し替えずに通信できる仕組みです。

クラウドSIMのメリット

  • 1本の契約で複数キャリアの回線を使用できる
  • 対応する国・地域で利用可能
  • 端末にSIMカードの差し替えをしなくて良い

クラウドSIMのデメリット

  • 接続する回線はユーザー側で選べない
  • 端末のスペックがボトルネックになることがある
  • SIMサーバーを運用する事業者の管理能力が問われる
トミー
トミー
少し専門的な話になってしまいましたが、現在クラウドSIMは世界的に注目されている技術であることは間違いないです。

分かりにくかったり、理解できなかった場合は、ぜひコメント欄やSNSなどで遠慮なく質問を投げかけてください。

参考記事【徹底解説】クラウドSIMで障害が発生した原因は何?今後どうなる? 

人気記事【プロが解説】テレワーク(リモートワーク)に最適なモバイルWi-Fiの選び方

記事の誤字脱字や内容に関するご指摘、ご意見、お問い合わせはこちらからお願いいたします。

ネット回線お役立ちツール

簡単な質問に答えるだけで、15秒で最適なネット回線を診断できます。
» 無料ネット回線アドバイスツール 「回線ドクター」

毎月のスマホ代やネット回線代が、将来どれくらいの負担になるか確認できます。
» 生涯通信費計算ツール

複雑な通信契約の読み解きに特化した専門AIアシスタント。
» 回線契約監査くん(ご利用にはGoogleアカウントが必要です)

回線の疑問やトラブルを調べたい・相談したい方へ

Wi-Fiや光回線、スマホ回線の困りごとを質問・共有できる情報コミュニティです。
» 回線のことなら「回線ひろば」

  • この記事を書いた人

トミー

販売代理店での固定系回線販売や、プロバイダーでのテクニカルサポート業務を経て技術畑に転身。 現在はモバイルネットワークに関わる業務に約18年従事し、無線通信や通信基地局向けの光回線、IPネットワーク等の技術と日々向き合っています。 これまでに累計10万回線を超えるネットワーク構築を手掛けてきました。 このサイトでは、快適な通信環境を整えるための情報を、簡潔に噛み砕いて分かりやすく伝える事を心がけています。 総務省認定:第一級陸上特殊無線技士(関東総合通信局 免許番号:ABXJ01740)一般財団法人インターネット協会 賛助会員 » プロフィール詳細

-基礎知識・使い方
-,